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芦雪あれこれ(宮島八景図) [芦雪]

(その二十)宮島八景図

八景図1.jpg

宮島八景図(芦雪筆)画帖(八面)絹本墨画淡彩 国(文化庁)保管
各三四・〇×四七・〇cm
上段 第一図 厳島燈明(いつくしまとうみょう)
下段 第二図 大元桜花(おおもとのさくらばな)

 この画帖には、題名の記載がないが、冷泉為経が選定した景目に即した内容となっており、元文四年(一七三九)刊行の『厳島八景』の挿絵等を参考にしている。
 その八景とは、次のとおりである(参考に「四季別」などを付記する)。

一  厳島燈明(いつくしまとうみょう) → 春 新年(燈明)
二  大元桜花(おおもとのさくらばな) → 春 花(桜)
三  滝宮水蛍(たきのみやのほたる)  → 夏 蛍
四  有浦客船(ありのうらのきゃくせん)→ 夏 夏の浜
五  鏡池秋月(かがみいけのあきのつき)→ 秋 月
六  谷原塵鹿(やつがわらのびろく) →  秋 鹿
七  御笠浜慕雪(みかさのはまのぼせつ)→ 冬 雪
九  弥山神鴉(みせんしんあ) →     冬 寒鴉 

 この最後の第九図の「弥山神鴉」に、「甲寅冬於厳島写 平安芦雪」とあり、寛政六年(一七九四)の冬の制作ということになる。
 この「八景は単なる景勝の地ということではない。和歌・漢詩・俳句等を詠ずるに相応しい場所としての八景であった。芦雪は滲みやぼかしを多用し、筆数を抑制して余白を多くとり、抒情性豊かに表現する。それは八景を詠じる詩歌のためのイメージ画像をつくるという目的に沿ったものといえる。併せて見開き両面に墨一色と彩色のある図を対比させるといった心憎い配慮をしつつ、季節や時間の変化を巧みに創出したのである。」(『別冊太陽 長沢芦雪(狩野博幸監修)』所収「寛政期の芦雪(守安収稿)」)

 第一図(厳島燈明)は墨一色の上から鳥瞰的な景、そして、第二図(大元桜花)は、中央(前景)と左端(前景)の桜にピンク色を施しての、海(水色)より陸地へのアプローチということになる(以下、上記のとおり「四季別」などそれぞれに変化を持たせている)。

八景二.jpg

第七図 御笠浜慕雪(みかさのはまのぼせつ)

 第一図(厳島燈明)が遠景なのに比して、この第七図(御笠浜慕雪)は近景となる。そして、厳島神社のシンボルの海の中の大鳥居が、第一図では左向きで、この第七図では右向きと、その視点を異にしている。
 そして、この第七図の余白は、白い雪を被った遠山と雪を被った近景の社と木立とたなびく冬霞とが見事に描出されている。それに比して、第一図の余白は、海と山並みを覆う春霞ということになろう。
 こういう細やかな配慮が、これら八図の隅々にまで行き渡っている。そして、この第七図をとっただけでも、いわゆる、古来から幾多の画人が取り組んできた「瀟湘八景」の「荒天暮雪」のイメージと重なり、全体として、この「宮島八景図」は、芦雪の胸中の「瀟湘八景」と解して差し支えなかろう。

補記一 厳島八景之図(岳亭一麿=天保期の浮世絵師)のうちの、「滝宮水蛍・有浦客船・鏡池秋月・谷原塵鹿・弥山神鴉)=国立国会図書館(デジタルコレクション)

八景三.jpg
第三図  滝宮水蛍(たきのみやのほたる)

八景四.jpg
第四図  有浦客船(ありのうらのきゃくせん)

八景五.jpg
第五図  鏡池秋月(かがみいけのあきのつき)

八景六.jpg
第六図  谷原塵鹿(やつがわらのびろく)

八景八.jpg 
第八図  弥山神鴉(みせんしんあ)



コメント(1) 
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コメント 1

yahantei

「芦雪あれこれ」(二十回)の時(一応・修了時)に、下記の「芦雪展」の情報、名古屋の「県立美術館(?)」の二十五周年とか、やはり、何かしらの「えにし(縁)」というのを実感します。
(middrinnさんに感謝)

ttp://www.chunichi.co.jp/event/rosetsu/
by yahantei (2017-10-12 17:18) 

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